南高梅の特徴

和歌山県の特産品である南高梅について解説します。

全国の主な梅の品種

まずは全国の主な梅の品種を紹介します。

  • 鶯宿(おうしゅく) 主に徳島県で古くから栽培されている品種。
  • 白加賀(しろかが) 群馬県 埼玉県 茨城県など関東地方に多く栽培されている品種。
  • 十郎 神奈川県小田原の十郎梅として関東の方は聞きなじみがあるかもしれません。
  • 豊後 青森、長野、岩手県で主に栽培され耐寒性のある品種。

私は生まれも育ちも和歌山県なのでどうしても 梅=南高梅 で育ちましたが

他の地域の方は今紹介した梅もご存じかもしれません。

南高梅の紹介

現みなべ町の南部高校教諭と農家の高田氏により選抜された苗から、

粒が大きく日が当たると美しい紅色になる優良な苗を南高梅として選び南部高校の略称から

南高梅と名づけられました。

南高梅が樹勢が強く育てやすい、豊産性ということから普及しました。

まずは農家が育てやすいという点がなにより嬉しいところです。

この樹勢が強いというのは後日紹介する当園がたくさん実をつける木になった秘訣にも関わってきます。

そして南高梅は大玉で果肉も多く、梅シロップや梅酒用などの青梅としてもぴったりです。

完熟させた梅でつくる梅干しは皮が薄く実も大きいので食味が非常にいいです。

南高梅の特徴でもある日に当たると美しい紅色になる点についてもうすこし深堀します。

紅色に色づいた梅はポリフェノールが増加し抗酸化能が向上すると和歌山県うめ研究所が論文を発表しています。

出来るならすべてに紅色が付くようにしたいのですが葉っぱを全て取るわけにもいかないので

木の先端にある梅だけが綺麗な紅南高になります。

作業の空き時間などに摘葉といって梅の周りの葉っぱを少し落としてあげますが、

数が多いのでなかなか手が回りません(-_-;)

南高梅の欠点

ここまで南高梅の良いところを解説しましたが

良いところばかりではないんです・・・

先ほど豊産性と説明しましたが、正しくは「条件が揃えば豊産性になる」です

↓2020年の記事です

南高梅不作、収穫量が過去10年最少 JA紀南平年比6割強:紀伊民報AGARA

記事にもあるように2020年は平年の6割ほどしか収穫できませんでした。

近隣の方の園地によっては3割だったところもありました。

不作を越して凶作です。

ではなぜこのようなことが起きるのか。

一つは暖冬であったから。

南高梅は11月頃から落葉し12月には休眠状態となり幹と枝だけの状態になります。

↓写真は2023年の1月28日のものです

枝のポツポツと蕾が付いているのが分かると思います。

本来、梅は寒さに耐えゆっくりと休眠から覚めて2月中下旬頃から開花します。

しかし2019-20シーズンは暖冬で開花が早く急激に開花しました。

うめ研究所の発表によると例年より早く咲いた花は受粉する機能を持たないまま開花するので

せっかく開花しても受粉、着果には繋がらず収穫量が落ちるということです。

1月の花は不作、2月の花は平年作、3月の花は豊作と言い伝えられてるのは、

こういう経験からなのですね。

もう一つの理由としては

南高梅は 自家不和合性 だからです。

自家不和合性というのは南高梅自身の花粉では受粉せず、

他の品種、例えば小梅や在来の雑種の梅や交配用に品種改良された梅の花粉と受粉ことが必須です。

この他の品種の花粉を南高梅の花に受粉させるためにはミツバチに仲立ちしてもらう必要があります。

暖冬だったのにも関わらず梅が開花したタイミングになって寒の戻りがあり天候も悪くミツバチが飛びにくい年でした。

このミツバチの話については梅の開花と南高梅に大切な存在というテーマでブログを書きますので

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ここまで南高梅の良い点と農家視点においての悪い点を書いてきました。

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